■リハビリがてらに

「女の子の体は柔らかい」とはよく聞くものの、実際どの程度のものなのかはいまだ知らない。生意気にも水瀬という彼女を持つ相沢に聞いてみたら「スベスベマンジュウガニ」という回答を貰った。意味はよくわからなかったが、「スベスベ」というところのアクセントが強くなっていた辺りに相沢のフェティシズムを感じる。


「よう肌フェチ」
「ようDT」
 朝の挨拶も軽やかに爽やかに、それでいて少しばかりの毒をこめる。毎度おなじみのことだ。
「おはよう北川君」
「おっす水瀬、今日も眠たそうだな」
 相沢の後ろに控えていた水瀬にも挨拶。「ひどいよー」と笑いながら冗談めかした非難を向けてくる。相沢は実にいい娘を彼女にしたもので、羨ましい限りである。
「そうだな、今日はいつもよりひどかったし」
 下駄箱に差し掛かると、不意に相沢がぽつりと洩らした。
「ほう、どのくらいひどいものだったんだ?」
 すぐに水瀬家の朝の様子だと察した。
「あ、ちょ、ちょっと祐一ストップ!」
 慌てて相沢の口を両手で塞ぎ、言葉を遮る。その光景はシュールだが微笑ましい。
「朝っぱらからイチャつくなよ。独り者への当て付けかこのやろー」
「うむ、羨ましかろう」
 反論されるのではなく肯定されてしまった。健全な青少年ならそこは「ば、馬鹿! 違うって!」と慌てふためきながら言うのだろうが、年季が違うのか経験値が違うのか、さては両方か。
「くそう、どうせ俺はDTさー!」
 泣きながら(演技)丁寧に上履きを履いて走り出してみる。次々と生徒たちを追い越していくが、なぜか後方に気配を感じない。そういえば制服のリボンの色が違うような気がする。
「北川ー、そっちは一年生の教室方面だぞー」
 泣きたくなった。



とりあえず神奈川県知事は千葉にまで妄想を持ってこないでください。



というわけで仕事が終わる前に僕は、神山満月ちゃん



「おねーさんといいことしなーい?」
「しない」
「まあまあそんなこと言わずにさ。いい? 人と言う字は人と人が支えあって」
「まあそうだけど、一人が明らかに楽してるよね」
「一人が明らかに楽してる、とな。……はっ、も、もしや君はわたしのヒモになりたいということ!?」
「人生出直してこい」
「結婚は第二の人生の始まりだよね」
「人生の墓場とも言う」
「一緒の墓に入りたいという君の思いは確かに届いたよ!」
「あ、すんません。からあげ追加で」
「無視!?」


なんだこれは。確か痴女と高校生でなんか少し書こうと思っていたのに。